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舞台「四月は君の嘘」 感想

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舞台「四月は君の嘘」を見てきました。

君嘘は原作の漫画が大好きで、珍しくアニメまで見た作品です。私は基本的に俳優オタクなので作品の名前だけで観劇を決めるのは珍しいんですが、君嘘が生演奏で舞台化するなんて見るしかない。結果、本当に行ってよかったです。

 

君嘘はクラシック音楽を題材にした作品です。

天才と呼ばたものの、母の死をきっかけに自分のピアノの音が聴こえなくなった主人公有馬公生。破天荒で自由、でも実は病魔に侵されていて誰かの心の中に残りたいと強く願うヴァイオリニスト宮園かをり。2年前にピアノを弾くことを辞めた公生を、かをりが自分の伴奏者に任命することから話が展開していきます。

原作自体が本当に素晴らしいのでおもしろくないわけないと思って行ったんですが(しかも安西くんだし)(いや安西くんのことは正直そんなに知らないけどなんか謎の安心感がある)、予想以上でした。最高。なんで席埋まってないの?おかしくない?16列くらいまでかなって感じでした。明日の9/3までやってるので、少しでも原作や音楽が好きな人は絶対見てください。このあと大阪でもあるみたいです。

 

本当はちゃんとした感想が書きたいんですが、なんかもう言葉にならない。困った。

とりあえず、この作品を生演奏で舞台化してくださった関係各位には感謝しかありません。ありがとうございます。本当に来てよかった。DVD出るなら絶対買うけど、これはやっぱり生で見るべきだ。

 

開演5分前のブザーの後は、ザワザワする客席のようなBGM。すでにコンクールのような空気でした。そしてヴァイオリンの調弦の音で幕が上がる。もうここまでの流れだけで私のテンションはうなぎのぼり。

舞台装置もとても良かったです。後方の遥か上段にグランドピアノ、その前を横向きにはしる真っ白な階段には黒鍵を思わせる柄。カーテンには折り重なるように五線譜が描かれて、いくつか散らばった椅子はピアノの椅子。白と黒でまとまっていて、公生のモノトーンの世界のようでした。シンプルなのに殺風景という印象は無くて、アイアの広さも上手くカバーした落ち着いた雰囲気が世界観とよくあっていた印象です。君嘘のあの独特の空気がアイアに存在してた。

 

 

そして、この作品の魅力は何といっても生演奏です。

サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチョーソ」は、かをりと公生が一緒に演奏した最初で最後の曲です。

アニメも本当に素晴らしかったんですが、生の人間の言葉と音が本当にすごくて…特に「アゲイン」のあとのピアノの圧が最高で無意識に息を止めてました。本当に殴り合いみたいな演奏だった。

井川さんのピアノのシーンも良かった。井川さんが憧れたのは、「ヒューマンメトロノーム」と呼ばれるようになる前の有馬公生。戻ってこいと、今の公生への怒りをぶつけるような演奏をするシーンです。

 

演奏シーンは生演奏と役者の演技が同時進行します。

舞台の生演奏といってもいろんな種類があるけど、基本はオケピの中の客席から見えないところでの演奏ですよね。でも君嘘は登場人物がまさにその演奏者で、生演奏も舞台上で演奏します。演奏者と役者のボーイングや鍵盤を叩く指の動きが重なって、役者と演奏者が一緒になる。

私はどちらかというと演奏者を見ていました。ただ生で演奏する人じゃなくて、限りなく役の一部としてそこにいる。普通じゃない演奏や感情を爆発させるような演奏が多いこの作品で、それを表現できるだけの力。そして、それに重なる役者の迫真の演技。思い返したら演奏のシーンのたびにボロボロ泣いてました。何がよかったとか誰がよかったとか言えない。全部。

君嘘の登場人物たちは皆自分の怒りや悲しみや喜びや愛、そういう感情の全てをぶつけて音を奏でるんです。アニメならモノローグで、漫画なら文字で表現するそれを、演奏家の生演奏と役者の台詞で限りなく生に近づけた演出。きっとこれは舞台でしかできないなぁ、息なんてつけませんでした。

 

 

できればもう1回見たかったけど、受け取った感情が処理しきれなくてマチソワ連続では入れませんでした。でもこの1回の衝撃を大事に取っておきたいような感覚もあります。1回目を先週見てたらきっと今週2回目を見に来てただろうなぁ(先週末のよさこいを避けた結果この日まで見られなかったんですけどね)。この1回を大切に見られて良かったです。

 

でもやっぱり、こんなにすごいのに席が埋まってないなんておかしい。もったいない。絶対もっと評価されるべき。

東京でも明日9/3までやってます。大阪もあります。是非見に行ってください。