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夢ならいつまでも2人きりなのに

好きなものを好きなだけ

ミュージカル「プリシラ」感想

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プリシラを見てきました!

はやめに着いたのでさっさと席についていたら、「まだ15分前よ?!もう来たのぉ?!」とオカマちゃんのアナウンスが始まりました。もうすでに愉快。

感想を一言で言うなら「サラッと楽しいけれど考え始めると深い」といった感じでした。エリザベートのDVDを挟んでしまって記憶が曖昧になってきてますが、覚えている範囲で書き残しておこうと思います。

 

ドラァグ・クイーン

プリシラLGBTを扱った作品です。ドラァグ・クイーンのティック(山崎育三郎)とアダム(私が見た回は古屋敬多)、トランスジェンダーのバーナデット(陣内孝則)。3人とも同性愛者ですが、ティックには別居中の妻と息子がいたり、バーナデットは普段から女性の格好(いつも可愛らしいワンピース着てる)をしていたりと、価値観や立場はそれぞれです。

ドラァグ・クイーンは、「派手なメイク・奇抜な服装といった女性を誇張した格好をする人のこと」を指すようで、性別や性的指向、ショービジネスと直結するとは限らないそうです。この作中に限れば「派手な女性の格好をして口パクリップシンクでショーをする男性」って感じかな。

そんなわけでたびたび早替えがあります。え?!化粧どうしてるの?!って思ったらマスクでした。5列目くらいで見てたんですが全然違和感なくてびっくりした…いっくんがガチで口紅を塗るようなシーンもあったのでガン見してきました。眼福。

 

あらすじ

この話は、ティックのところに別居中の妻マリオン(和音美桜)から電話がかかってくるところから話が展開していきます。内容は砂漠の真ん中にあるアリス・スプリングスのカジノでショーをやらないかという誘いでした。ティックはバーナデットとアダムを誘い、プリシラ号と名付けたバスでアリス・スプリングスへの旅に出ます。

そんなわけで、3人のドタバタ珍道中が始まるわけですが、背景を動く紙芝居みたいなバスや映像が絶妙に安っぽくてダサいのがとてもイイ。轢かれるカンガルーの雑さもいい。衣装も装置も基本的にド派手ですが、力を入れるところとあえて抜くところが上手くて、それだけでもクスッと笑えました。

 

バーナデットとボブ

旅の前、トランスジェンダーのバーナデットには若い夫がいたのですが、風呂場でヘアスプレーを使いすぎて中毒を起こして若くして死んでしまいます。お葬式のシーンがあるのですが、参列者の服がおかしい。みんな一応黒い服を着ているんですが、頭に電飾ついてる人とか頭に十字架が乗ってる人とかいる。歌もなんかドンチャンしてる。こんな愉快な葬式シーン初めて見た(※バーナデット本人は悲しんでます)。

そんな中旅に出たバーナデットは、道中ボブという一人の男性と出会います。ボブは昔ドラァグ・クイーンをしていた頃のバーナデットに一目惚れをした人で、彼女の復活を喜んで観客を集めてきます。でも、彼の好きなものは街の人たちには受け入れられませんでした。

このシーン、なんだか入り込んでしまって見ていて苦しかったです…自分の好きなものを相手に理解してもらえないのは悲しいです。だから私は、自分にとって大切なら大切なほど、本当の意味で他人に勧めることが出来ないんだよなぁ、とかふと思いました。自分の思い入れや贔屓目があればあるほどそれを否定されたくなくて、相手の感想を聞くのが怖い。

ボブはバーナデットのことを自然に女性として扱います。とにかくほんとボブが出来た人で…人間の本質を見てるというか、バーナデットの内面を愛してるんだなあって。どちらもいい歳(50何歳とか言ってた気がする)なのに初々しくていじらしくてもう…幸せになってね…!!

 

父と母と息子

「妻は2人いらない」それがティックが別居を決意した理由でした。マリオンとも決して不仲では無いんです。ただティックは「夫」になれなかった、それだけだったんだなあ。

そして「息子の前では良いパパでいたい」というティック。ティックが息子のベンジーに会うのはこれが初めてです。ドラァグ・クイーンとしてステージに立つ自分を息子は受け入れてくれるのか…いっくんはこういう葛藤や不安が分かりやすく表情に現れるのが素敵ですね。ティックは夫にはなれなかったけど父親なんだなと思うと、なんだかこみ上げてくるものがありました。

父のショーを「可笑しかった(おもしろかった)」というベンジー。子供の純粋さに泣きそうでした。どうして大人になると「普通」という固定観念が生まれてしまうんだろうとか小難しいことを考えながら心の中でめちゃくちゃお祝いしました。おめでとうティック。これからも良いパパでいてね。

 

それにしても和音さんが可愛くて可愛くて…マリオン以外にもいろいろな役でアンサンブルのような役割もしていたのですが、人がたくさん出てくるたびに和音さんを探してました。可愛い…。和音さんの歌が聞けなかったのはすごく残念というか、どんだけ贅沢な使い方してるんだよって思いましたが、可愛かったので良かったです。

歌といえば、この作品にいっくんがいることが不思議だなあなんて思いながら見てました。なんていうか、いっくんのまわりだけミュージカルなんですよね。ミュージカル「プリシラ」なんだから正しいんだと思うんですが、ショーのシーン以外の歌もショーの色が強いので、ティックのソロになると(あ、ミュージカルだったわ)みたいな気持ちになりました。それが悪いわけじゃないんですが、なんだか不思議な感覚でした。

 

ただただ愉快なショーとして楽しむこともできるし、自ら深掘りしていろんな愛を描いたヒューマンドラマとしても楽しむことができておもしろい作品でした。