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貴婦人の訪問 感想

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行ってきました貴婦人の訪問。再演ですが、私は今回の2016が初見でした。再演っていいよね、だって再演するだけの良さがあるってことじゃないですか。知らない作品でも安心してチケット買えます。

とりあえず公式のあらすじだけは読んで、イケてるおじさまたち見るぞ~なんて思っていったらアルフレッドに殺意を覚えて帰ってくる結果になりました。途中まで(祐様ふわふわ可愛い~)って思ってたのに。え、これアルフレッドが全面的に悪くない?ふわふわのダメ男かと思ったら割と本格的にクソ野郎でした。いくら顔や声や中身が山口祐一郎様でも許されることと許されないことがあるぞ。いや、許されなかったわけだけど。

クレカ払いの怖さを教えてくれる作品でした。クレジットは借金という祐様のありがたいお言葉を胸に生きましょう。クレジットは借金(戒め)

一度ではなかなか消化しきれない部分もありましたが、すごくおもしろかったので書き留めておこうと思います。全部拾いきれていないと思うのでなんかいろいろ間違ってるかもしれないけど。あーもう1回見たい。

 


『貴婦人の訪問』2016年公演 プロモーション映像(舞台映像版)

 

この作品は、億万長者の未亡人クレア(涼風真世)が、財政難の町を救う代わりにかつての恋人アルフレッド(山口祐一郎)の死を要求することから話が展開していきます。

ルフレッドとクレアが付き合っていた頃、クレアのお腹には2人の子供がいました。でもアルフレッドはマチルデ(瀬奈じゅん)という雑貨屋の娘の逆玉の輿に乗りたくて、「クレアは誰とでも寝るからそのお腹の子を認知できない」とでっち上げの裁判を起こしました。クレアは娼婦と罵られてこの町を追われます。これはいわばその復讐劇。クレアよりもお金を選んだアルフレッドへの復讐として、町の人たちにアルフレッドとお金を選ばせるわけです。

うん、どう考えてもアルフレッドが悪いよね、あんなふわふわかわいい振りしてなんて男だ?!アルフレッドが殺されるんじゃないかと怯える度に、(可哀想…→いや元はと言えばお前が…)と脳内で何度繰り返したか分かりません。

 

クレアが町にやってくると、皆そのうち金が入るぞとクレジットで贅沢を始めます。クレジット怖い。キャビアとかエルメスとかプードルとか買い出します。そのプードル値札ついてるけどどういうこと。

金が入るということは即ちアルフレッドが死ぬことを意味しています。ですが晩餐会の場で出た20億ユーロの資金援助の話とその条件について「みんな額が大きすぎて嘘だと思っている」という前提があるようでした。だから不気味なんですよね、アルフレッドを殺そうとは思っていようだし条件についても本気にしてないっぽいのに金が入る予定があると思っている。みんななんなの?!どういうつもりなの?!こわい!!

洋服の贅沢の方向性はスタッズとトンガリ肩。皆出てくる度に服についてるスタッズが増えて肩が尖る。なんだ、それがこの時代の最先端なのか。その度にどんどんアルフレッドとの距離が開いていきます。冷たくて尖った感じが物理的にも内面的にもピッタリ。そういえば1人、トンガリ肩の半袖を着てる人がいました。え、その肩で半袖ってあり?ありなの?って気になって気になって仕方なかった。ずっと1人質素な服を着続けていた禅さんが遂にスタッズつけて出てきた時はめちゃくちゃ悲しかった…ああ…最後の良心だった禅さんも地獄の門に吸い込まれてしまった…

 

昔妖精、今妖怪でおなじみの涼風真世さんですが、こりゃあ本当に妖怪かもしれないと思うレベルのスタイルの良さでした…その腰なん…え、おいくつでしたっけ…?特に腰にベルトがグルグルしてる黒い服。セクシーすぎやしませんか…。こんなに細くてあんな素晴らしい歌声が出るものなんですね…すごい…

祐様も(最終的に私はアルフレッドアンチだったけど)ふわふわ可愛かったんですが、石川禅さんが本当に可愛くて…晩餐会でクレアの話を聞いてる時の困り眉とリアクションとか…あと幼女との組み合わせが可愛くて可愛くて仕方なかったです。テレビ局が取材に来ているシーンは隅っこの禅さんと幼女ばっかり見てました…はあ癒し…この作品の良心…禅さんは最後まで抗って人道的であることを目指してました。闇堕ちする前の曲かっこよかったな…ああ…禅さんだけはスタッズつけて欲しくなかった…(2度目)

 

この作品は過去と現在のアルフレッドとクレアが同時に舞台上にいる時間が多くあります。私、ああいう過去と現在が交差する演出好きみたいです。過去アルフレッドが現在のクレアを抱きしめるのとか…あああってなります。過去の裁判のシーンなんかは、過去クレアの悲痛な表情と現在のクレアの恨みのこもった無表情の対比がすごかったです。涼風真世さんは表情の演技が最高ですね…1幕ラストの(あ~和解かな~和解するかな~)って感じのほだされてる表情からの「死ぬまで(死んでも?)許さない」とかもう鳥肌でした。

そういえば過去アルフがスクラッグだし神父様がワイアットだし私の脳内はレディ・ベスでした。もうあと1年切りましたね、はーーー楽しみ。

 

最終的に、アルフレッドの過去の罪を裁判で裁くことになります。かつて「クレア」を殺したのも裁判なら、今回アルフレッドを殺すのも裁判。皮肉ですね。

裁判の前、「ずっとクレアが好きだったの?私を愛した事は一度もないの?」というマチルデの言葉に対して、金目当てで結婚したとぶっちゃけた上にクレアのことは忘れようとしたんだけど無理だったとかなんとか言うアルフレッド。そこは!最初はお金目当てで君と結婚したけど愛してたよとか言えよ!嘘でも!!と思わずにはいられないけれどそれではこの話は成り立たない。最後の味方も自ら手放すアルフレッド。この後マチルデも肩が尖ります。自分の死を覚悟したアルフレッドが、マチルデを悲しませないためにあえて突き放すような嘘をついたと思いたかったのですが…なんか違う気がします。どうしよう、本当にクズじゃないか…

 

この作品は結局周りの人達が人殺しだなあと思いました。

昔「クレア」を殺したのはアルフレッドだけど、嘘の供述で協力したり娼婦だと罵って追い出したのは皆で。今度はクレアがアルフレッドを殺させたけど、アルフレッドを裏切って実際に死に追いやったのは皆で。

かつて裁判でアルフレッドに協力した人たち、クレアを罵り追い出した人たち、そういった人たちが、クレアが戻ってきて資金援助の話が出たことをきっかけに徐々に立場を変えていくわけです。彼女が現れなければ、彼女が億万長者の未亡人になっていなければ、彼らはアルフレッドの過去の罪を裁こうなんて思いもしなかったのに。自分たちのしたことは棚に上げて、アルフレッドを咎めることを正義として、アルフレッドの死を正当化する。ああ本当に人間的で汚くて恐ろしい。最後のクレアの「人殺し」という言葉が胸に突き刺さるようでした。

 

本当に、すごく考えさせられる作品でした。だからといってメッセージ性のゴリ押しというわけでもなく、終わったあとに残るこの物事を考えたくなる感覚がすごく心地いい。まあ、基本的にやばいとかすごいとか頭の悪い感想しか言えないので考えても大してまとまらないんですがね!いやあ、おもしろかったなあ。自分の中でもっと時間をかけて整理して、いろんな仮説を立てた上でもう一回見たいなと思える作品でした。